転落する楽園

 1日、またバリで自爆テロがありました。今回の現場はジンバランとクタのレストランとか。この選択は、無差別に観光客をターゲットにしているとしか考えられない・・・。胸が潰れる思いです。

 ジンバランは地味ですが大好きな場所で、バリに行った時は必ずステイしていました。空港にも近いし。シーフードレストラン、と言うとおそらく夕方から連なってビーチを彩るレストラン達のことだと思うのですが、ここも大好きだし、いい思い出のある場所です。入り口には新鮮なシーフードがどっさり並び、その中から「私はこれ!」と注文すると、シーフードは素晴らしい変身を遂げて私達の前にサーブされます。その間私達はビールを飲みながら、緩やかな波が砂浜と優しく会話する音に包まれていればいいだけ。ぬるい風が肌や髪にそっと留まり、駆け回り、また立ち去っていくのもされるがまま・・・。鼻をくすぐるシーフードの焼ける匂い、色んな言語が混ざり合って厚みを増す空気、そしてどの国の人もとろけるような笑顔・・。今でも、まざまざと感じることが出来ます。きっと楽園て、こういう所なんだろうな・・とすっかりふにゃふにゃになった頭で思っていました。

そのレストランが、今回の現場です。

 ぬるま湯の中で何不自由なく育ってきた私にとっては、宗教間の確執も、民族間の越えがたい溝も、なかなか理解することが出来ない。理解するのは、当事者でないと無理なのかもしれない。でもこういうやり方で全く関係のない人々を巻き込み、かけがえのない犠牲を出して恐怖を植え込もうというのは、やはり卑劣で卑怯そのもの。ただ、彼らの主張がこんな形でしか表すことができないこと、それがまず問題なのかもしれない。テロ自体は絶対に絶対に反対だけれど、テロをする側も始めはとても傷ついたのかもしれない・・。そんな気もします。(断じて、肩を持つわけではないですが)ああ、この悪循環はどうやったら断ち切ることができるのでしょう??!  9.11から始まって、悲しいことにもはや日常化しそうなほどのテロ。日本人の私達にとっても、もはや人ごとではありません。気をつけても、気をつけようがない。とても怖いです。それに、現場になった場所へのその後の被害も相当でしょう。今後ツーリストはガクッと減るでしょうし、経済を観光に頼っている場所ならなおのこと・・。色んな方面への、恐ろしいほどの負の影響。犠牲者の方々の遺族の心痛はとても計り知れません。そして、加害者の遺族も・・・。
今回の犠牲者の方々のご冥福を、心より申し上げます。そして被害者の方々も1日も早く回復されますように。
ちっぽけなちっぽけな私だけれど、この世界で何か自分にできることはないのか・・・。真剣に考えてしまいます。