狂気の城

 緑豊かなシーギリヤに、遠目からもわかるほど唐突に地面と垂直にそびえ立つ岩山があります。それがシーギリア・ロック。草木の気配は全くなく、周囲の緑とは対照的な乾いた濃いミルクティー色の岩肌は、近づき難い印象を与えます。しかし何と、かつてこの岩山に宮殿を築いた王がいたのです。
彼の名はカーシャパ。5世紀後半、権力欲しさに実の父・当時の王ダートゥセーナを監禁した末殺害し、ここに狂気の宮殿を建ててその頂上に玉座を置き、11年間この地を治めたとか。その後、腹違いの弟との戦いに敗れ自害したそうです。実際見ると、なぜわざわざこんな岩山に宮殿を建てようと思ったのか・・と感じてしまいます。せめて物理的に自分の身を高い所において、周囲を見下ろしたかったのでしょうか・・・。
           
      これがSigiriya Rock。これにこれから登ります!
 Rockに辿り着くまでには、「水の広場」を通ります。ここは王の沐浴場の他、当時の上下水道の1部が残っています。
           
 所々に見られる、二つの岩が支えあったような形の門?通路? スリランカで「アーユボーワン」(いつでも使える便利なあいさつです☆)と言う時に胸の前で合わせる手の形に、似ていませんか?
                   
 ひたすら石の階段を登っていくと鉄の螺旋階段に辿り着き、登りきると唐突にシーギリア・レディに会えます。ここは丁度岩の中腹くらいかな。カーシャパが父の霊を鎮めるために、この壁画を描かせたと言われているそうです。5世紀に描かれたフレスコ画が、こんな美しい状態で残っているなんて驚き!元はこの岩山の壁に美女が500人ほど描かれていたそうですが、現在残っているのはわずか18人です。これが発見されたのは19世紀ですが、こんな岩山にこんな美しい壁画があって、発見した人はさぞや興奮したことでしょう!
           
      中には剥がされてしまっている物もあります・・。
シーギリヤ・レディを過ぎると鏡のように磨き上げられた壁を持つ「鏡の回廊」がありますが、正直ピンときませんでした・・。座っているおじさん達は「mirror wall!mirror wall!」と教えてくれるんですけどね。
           
 さらに急な階段を登っていくと、少し開けた場所「ライオンの入口」に出ます。階段の両脇に、ライオンの前足があるのがお分かりになりますか?以前は頭部まであって、階段を登っていくとライオンの喉に飲み込まれるような形になっていたのではないか、と言われています。なぜならば、何を隠そうシンハラ語でライオンは「シンハshinha」、のどは「シンハギリヤshinhagiriya」で、「ライオンの喉」はこの地の名前の由来であるから。以上、「地球の歩き方」の解説より(笑) あら、もしかしてシンハービールのラベルが獅子なのも関係ある??
           
ここは修学旅行?のスポットでもあるらしく、小学生が沢山いました。
         
         
ライオンの入口からの階段が急なうえ下が丸見えで一番怖かったのですが、ようやく「王宮」に到着です!頂上は結構広く、王宮のほか兵舎、ダンスステージや王のプール(どうやって水を満たしたんだろう?!)もあったそうです。そして360度のパノラマ。これは気持ちがいいですね〜。気持ちがいいから写真のシャッターを頼んだら、ここでもチップを要求されました。しまった、私が甘かった・・・・。
         
  気持ちはいいけれど、何とも孤独感も感じさせる王宮でした。
それにしても、こんな所に王宮を建てるなんてやっぱりすごい!!ブロックを運ぶだけでも、いやまず階段や梯子をつけるだけでもかなりの犠牲者が出そうなのですが・・。まさに狂気の城だと思います。それゆえに、こんなにも美しいのかも。
         
下りはトントントン・・・と降りられるので、あらあら楽ちんです。ライオンの広場を見下ろした所。

降りきった所にお土産物屋さんが何軒かあり、その並びで熱々で、甘ーい紅茶も飲めました。1杯20Rp。これがセイロンティ!とちょっぴり感激。こんなにも近いし紅茶もよく飲むのに、インドと違ってチャイ屋みたいのを全然見かけないのが不思議でした。(スリランカではチャイとは言わないみたいですが。それにしてももっと道端にお茶の壺を担いだ人がいないものなのか・・・と思っていたのです。実際は結局わからなかったのですが、どうなんでしょう?)


 毎日雨が1回は降る中、ちょうど晴れた時に登れてラッキーでした!降りたらまたスコールですもん。
スリランカへ行く方は、ぜひぜひこのシーギリヤ・ロックに登って下さい**本当に美しく、ちょっぴり悲しげな所でお薦めですよ♪♪(入場料は20ドル。危ないので、雨の日は登るのを待った方がいいでしょう。頂上まで行くつもりならば、スカート厳禁!です 笑)ちなみに、世界の不思議な場所?の8番目だとか。。