この手はどこまで届くの?

 ヨーロピアンのツーリストのように、ビーチで1日中何もせずに空気にとろけてゴロゴロまったり・・・ということができなかった私達。だって1週間なんて、日程が短すぎるんですもの!午前中だけThe Blue Waterのプールサイドでインド洋の波の音に包まれて(スヤスヤ・・)、午後からはワドゥワから最寄の町へ行ってみることにしました。
       
             
ここはホテルからトゥクトゥクで15〜20分ほど(100Rpの距離)の町です。名前はわかりませんが、そこそこの大きさ。スリランカに来て以来こういった場所に来ていなかったので、ここを通りかかったら思わず「ここで降ろして!!」と言ってしまいました。果物や野菜、大きな魚の干物、乾物を山盛りに積んだお店などが軒を連ねています。何を買うわけでもないけれど、こういう所をぶらぶらするのって大好き!日本とは全く違う強烈な匂いにクラクラしながら、ここの人達はこういうものを食べているんだーと見てみたり。言葉は通じないけれど、お店の人と笑顔を交わしたり。ジロジロ見られるのはちょっと落ち着かないのですが、まあそれはどこへ行ってもそうなので仕方がない。
       
この町で、通りすがりにきれいな建物を発見しました。近くにいた人が言うには、これは仏教のお寺だということ。お金はかからないからぜひ見ていったら、と言われて、I君は別にどっちでもいいと言いましたが、私は何も考えずにこの階段を登ってしまいました。そもそも、それが失敗でした・・。
このお寺は500年くらい前に建てられた物らしいのですが、内部は壁一面に仏教の壁画が描かれていてなかなか見事でした。こんな名もない町にもこんなきれいなお寺があるなんて・・と感心して、勝手に案内してくれた男性にありがとう、もうさようならと言っていたら、こちらの奥もぜひ見て行けと言います。自分はここで働いている、ここもお金はかからないから・・・。さすがの私も、何だか怪しい雰囲気になってきたぞ?と感じ始めました。彼が指差す奥の方、お寺から見下ろすような庭に見えたのは、僧侶を育ててる学校?でした。数人の少年がオレンジ色の袈裟?を着て、庭に立っているのが見えます。彼らはまだ修行中で、そのうちの何人かは津波で両親を失ったtsunami childrenだと言います。スリランカでは大勢のtsunami childrenが出たけれど、ここでは何人かを引き取って育てているんだと。何もなければ、彼らは僧侶としてここで一生生きていくのだと。
そこで、です。
もしあなた方がお金をかけてスリランカまで来て、この子供達を少しでも可哀想だと思うのならば、彼らに米を買ってください。お金じゃなくていい。少しでもいいから、米を。あなた達にとっては全然高くはないはずです。もちろん私のためではない。これは人助けですよ。この子供達を見て、あなた達は何も感じないのですか・・・
あなたならどうしますか?
私は正直言って、かなり迷いました。この男性は何だか信用できない気はするけれど、お金ではなくて米を、という所は買ってあげてもいいかな、とも思ってしまうのです。本当はあんたがバクバク食べちゃうんじゃないの?!という気もするにはしましたが・・。
とかく海外では騙されやすい日本人。私は海外へ出たら、自分は狙われやすいのだという自覚を持ち(特に一人旅では)、ひたすら相手の表情と目を真っ直ぐに見るようにしています。何か裏で考えている人は、絶対にそういう目をしていると思うから。生き様は、その人の顔を作っていくし。これで今のところ危険な目に会ったことも、騙されたこともありません。それでもこの人は、正直言ってよくわかりませんでした。何となく怪しいと思いつつも、人助けと言われると何となく買った方がいいのかな・・・と思ってしまったりもして。そうして私が困っていると、私なんかよりずっと経験値の高いI君は「もういいよ、行こう。米を買って欲しいなら最初からそう言えばいいはずなんだ。この人はどう見ても信用できない。」とばっさり。その後も彼はしつこく私達については来ましたが、結局米は買うことなくこの町を後にしました。

今になってはどっちが良かったのかなんてわかりませんが、何だか後味が悪かったです。結局は、私達は歩く財布として見られることが多いこと。人助けを大義名分として、もしかしたら人を騙そうとしている人がいること。(まあ日本にいたってそうですが)自分の目をしっかり持って、自分の頭でしっかり考えて判断しないと、他人を信用することが怖くなってしまうでしょう。
とりあえずtunami childrenに対する援助はしたいので、コロンボでこんなステッカーを買ってきました。1枚50Rp。これは信用できる出所なので。
         
ああ、こういうのって本当に難しい!