ドアの外から始まったこと

 先日、I君と二人で遅めのランチをしていました。そしてそのお店の隣には、とっても美味しい鯛焼き屋さんがあるのでした。おやつに鯛焼きを買って帰ろうかどうしようかと私が幸せに悩んでいたところ、I君の携帯が不吉に鳴りました。どうやら急いで病院に戻らないといけないみたい。とりあえずこの日は鯛焼きは置いておいて、家へ戻ることにしました。家のすぐ近くまで来た所で「ここでいいよ」と私は車を降り、ひとり家へと帰って来ました。
・・・・までは良かったのですが、家の前で気づいたことが。
私は家の鍵を持っていないじゃない!
二人で出かけていたので、私はわざわざ鍵を持って行っていなかったのです。じゃあI君が帰るまでどこかに行っていればいいや・・・と思ったものの、また気づいたことが。
私は車の鍵も持っていないじゃない!
ここは、車がなければ何も始まらないような不便な場所です。これは困った、と思い、とりあえず手が届くすべての窓を外から開けてみようと試みました。ひとつひとつトライして、わが家の周りをぐるりと1周。しかし、さすが冬です・・・。憎たらしいことに(と言うか、ちゃんと戸締りしていて偉いぞ私達、と言うべきか。。。)こういう時に限って、きちんとどこもかしこも鍵がかかっています。夏に私がI君を締め出したときは、深夜彼はリビングの窓からうちに侵入したのですが(笑) 近くの喫茶店で時間を潰すこともできるのですが、考えてみたら
お金もあんまりもってない。。。
これじゃあその辺の小学生と同じレベルです!夕方になってもそれほど寒くなかったのは救いですが、自分の家の前で指をくわえているのも悔しいし、どうにもお間抜けです。大人な私は(笑)とりあえず一番近いコンビニまで歩いていってお金をおろして、それから考えることにしました。その前にI君にメールを。
「重大問題です。おうちに入れません。お帰りをお待ちしております・・・」
すぐにコールバックがありました。
「そんなに遅くはならないとは思うけど何時になるかはわからないから・・。喫茶店にいるのはどう?また電話するよ」
ふーむ。どうしようかしらん?
 歩いて10分ほど行った所にあるコンビニでお金をおろして一安心。ふと目の前の道路の向こう側を見ると、そこにはバス停がありました。そうだ!このバスに乗ってどこかへ行ってみよう!!いつもは自分の車で通る道をバスに連れて行ってもらうのも楽しそう☆何だかワクワクしてきました。
そういえば、この道をずーーーっと行った所に、以前着付けをしていただいてとても感じが良かった美容院があったっけ。ここのところ美容院に行きたいと思っていたし、あそこへ行ってみよう!
ちょうどあと10分で次のバスがやって来ます。ははあ、この辺は30分に1本しかバスがないのね・・なんて知るのも、こんなことがあればこそ。美容院の近くのバス停の名前がわからないので、と言うよりそもそもこのバスがそちらの方へ行くのかもわからないので、バスを待っていたおばあちゃんに聞いてみました。
「すみません、月坂へ行きたいのですがこのバスはそちらへ行きますか?」
「月坂?行きますよー。イロで降りればいいの。」
「イロ?イロという所でいいんですか。ありがとうございますー(そんな名前のバス停はどこにも書いてないけれど、このおばあちゃん大丈夫かな・・?)」
「(何だかこの人分かってなさそうね、、、)私もそこで降りるから教えてあげる。大丈夫よー」
ああ、田舎っていい所!バス停の名前はよく分からないけれど、知らない人にも何て親切なんでしょう!そんな会話をしているうちに、5分遅れてバスがノソリ、ノソリとやって来ました。おお〜このバスに乗るのも初めて!! 意味もなく心躍らせて、私は重そうによっこらよっこら走るバスに乗り込んだのでした。眠いので続きは明日です!