カウンターですか お座敷ですか

両親が遊びに来ました。今の家へは、初めて。
私、両親に会えるのは嬉しくて。たいして話は弾まないことはわかっているのだけど、それでもやっぱり嬉しくて。
お寿司屋さんへ行きました。日本有数の港町ですから、どのお寿司屋さんもたいてい美味しいのです。中でも有名な、美味しいこと保証付きのお店に行きました。せめてそんな所へ、招待したかったのです。
その方がいいと思ってカウンターを予約していたのだけど、私の両親は「こっちの方が落ち着くから」とお座敷へ移りました。
I君のご両親が遊びに来た時も、同じお店へ行きました。あちらは始めお座敷だったのですが、知り合いがいたこともあって、なんの抵抗もなく「じゃあカウンターへ」と移りました。その時は移る理由もあったのだけど、
カウンターを好む夫婦
お座敷を好む夫婦
今も第一線でバリバリ研究やお仕事をされているI君のご両親と、昔も今も基本的には保守的な考え方をしがちな、元官僚とカウンセラーである私の両親と。それは何だか対照的で、生き方はこんなところにも表れているみたいで。どちらでもいいのだけど、面白いな、と感じました。
私はと言えば、最近は迷わずカウンターかしらん。小心者なのでお店の人と楽しく話したりはなかなかできないのですが、職人さんのお仕事が見えてその方が楽しいから。座り方が無粋なのでしょう、お座敷はすぐ足が痺れるのでちょっと苦手、という理由もありますが。あとたいてい、ふたりだからかもしれません。久しぶりの相手の顔をよく見たい時、できれば空間を広げないで濃密な空気を楽しみたい時、ちょっと眉根を寄せながらの話をする時は、お座敷なのかもしれません。
私が実家に置き去りにした、今さら絶対着なさそうなお洋服とか、ちょっぴり早いクリスマス・プレゼントとか、もういらなくて読み易いの頂戴と頼んでいた昭和史の本とか、池ノ上にある大好きなピエールのビアリッツ箱詰めとか
両親はどっさりのお土産とたっぷりの愛情を置いて、また東京へ帰りました。今まで何度も、時にはわざと土足で踏みつけてきたこの愛情に、遅まきながら少しずつでもお返ししていきたいと思っています。