おへその優しさ

 私が里帰りで出産しようと思った理由。
出産後は産む前よりも体力的に大変だから、家事をしなくていいような実家で過ごす方がいいよ、と周りに言われたことがひとつ。(私は産んでしまえばすぐに元気になるものだとばかり思ってました★)
でももうひとつ、私は出産するならば絶対にやりたいと思っていたことがあったんです。

それが臍帯血移植のドナーになること。


『臍帯血』って聞いた事はあるかもしれませんが、要は赤ちゃんとお母さんをつなぐ『へその緒』からとる血液のことです。
普通は捨ててしまう部分なのですが、実はこの血液には白血病などの血液の病気の治療に使える細胞がたくさん含まれているんです。 
 
 私が大学病院で研修医だった頃、やっぱり血液の病気の子が病棟に何人もいました。私の担当じゃなかったけれど、その中に化学治療をしても、自分の幹細胞移植をしても、骨髄移植をしてもなかなか期待するような効果が得られなかった子がいた。それでも何とか治療を続けてついに臍帯血移植をしたのですが、これがようやく効を奏してくれたのです。
その時のことが私はずっとずっと忘れられなくて、もし自分が出産することがあれば、絶対に臍帯血をとってもらおう、と決めていたんです。

 でもいざその時になって初めて知ったのだけど、臍帯血ってどこでも取れる訳ではないんですね。指定された病院でないとやっていないのです。そして調べたら私の県ではそういう病院は数えるほどしかなく、しかもちょっと、いや結構遠い!
もし実家に帰るならば出産は自分が生まれた病院がいいな〜と思っていたのだけど、たまたまそこは臍帯血の採取の指定病院にもなっていたので、これだ!!と思って決めました。

臍帯血移植はドナーになるにしても捨ててしまう部分を使うのだから、痛い訳でもないし(産後も感染症を調べたりするので多少採血はされます)とても有用だと個人的には思うのだけど、まだまだ保存など経費がとてもかかるんですって。他にも詳しくは知りませんが手間がかかるとかで、私の近くの病院では以前始めたけれど結局やめてしまった、と聞きました。赤ちゃんが産まれて他の人の役にも立つのならこんなにいい事はないのに・・・と思うのに、残念!

 実際は、私はドナーにはなれませんでした。
指定病院だった私のいた病院でも平日でなければ臍帯血をとっていなくて、私のお産は休日の明け方だったのでダメだったんです。このためにここの病院でお産するって決めたのに、本当に本当に残念でした。


 臍帯血移植についてはここのページに書いてあります。
もしもお産の予定がある方で、興味がおありの方がいらっしゃたら、ぜひ!!