青い鳥

 今日はクリスマスですね。サンタさんは来ましたか?楽しいクリスマスを過ごしていますか?
今年は私達にとって、たぶんずっと胸に残るクリスマス・イブだった。


 私達が仕事の関係(と言うと変な感じだけど 笑)で数日間ベトナムに行っていたのが12月中旬。もちろんL君も一緒で、前回バリに行った時の苦ーい経験を生かして機内におもちゃや絵本も持ち込み、眠くなるような薬も持って準備万端。でも機内では予想以上にご機嫌で遊んで、おやつを食べて、スヤスヤ寝てくれて、おお、今回は素晴らしい!!と思っていたのだけど・・・


ベトナムに着いた頃からL君の元気がなくなってきて熱発して、結局私達は用事を果たせたけれどL君はずっと熱が下がらずにほとんどホテルにいた。呼吸は浅くて速くて苦しそうだし、熱であまり眠れなくて辛そうだし、当然機嫌は悪いし、ほとんど何も口にしてくれないし・・。今まで熱が出ても2日くらいで下がっていたので明日には治るかな、明日には治るかな、と思っていたけれどなかなかすっきりしなかった。外は暑いしバイクが1日中うるさいのも、さらに本人にはストレスで良くないのかな・・・と思ってみたり。
さすがに心配になって途中病院も行った。良くはならなかったけれど、第3者に診てもらうというのは随分安心できることなんだなと知った。


日本に帰ってきたらだいぶ元気が出てきたので、ようやく治るかな!と思っていたけれど、やっぱり夜には熱が上がってしまっていた。翌日もそんな感じで、これはもうまずいと思って病院へ行き検査してもらったら、そのまま入院になってしまった。。。



 今回初めて入院の付き添い生活をしたのだけど、これが結構大変なことだった。始めの2日くらいは自分にまったく余裕がないのが本当によくわかった。「差し迫った気持ち」とはこういうものか!と実感したよ。


入院してからもしばらくはL君が全然食事を食べてくれないばかりか食事を見ると大泣きしだすので、食事の時間が本当に憂鬱だった。多少元気になってきても食事は口にしてくれず、これじゃあなかなか体力が戻らないんじゃととても心配だった。心配のあまり焦ってきたり、頑として食べようとしないと、一番頑張っているのは本人なんだとわかっていてもイライラしてきてしまったり。他の子は「ご飯だー」とちゃんと食べているのに、なんでうちだけが・・・と泣き続けるL君を抱っこしながらこっちも泣きたくなったり。


夜もそう。
調子が悪いせいもあるし普段と全然環境が違うから当然なんだけど、他の部屋で泣き声がしたり、機械がピーピーいう音ですぐにL君が目を覚ましてしまい、ここは何だか違う!とわかると泣き始めてしまう。他の子は寝ているから必要以上に泣き声も大きく聞こえてしまって、周りに迷惑だからせめて早く静かにして欲しいのにそうはいかず、深夜2時間くらい人気のない食堂などでずっと抱っこしていたりもした。見かねた看護婦さんが空いていた部屋を使わせてくれたりして、本当にありがたかった。
夜に束の間家に戻って急いでシャワーを浴びて、また寒い外へ出かけて病院へ戻る車の中では、本当に色々な思いが頭を駆け巡っていた。


でも3、4日目くらいからようやく落ち着いてきて、結局ちょうど1週間で退院できた。
今思えばまったく普通の経過なんだけど、子供が入院するとこんなにも生活が変わるんだなあ。恥ずかしながら知りませんでした。私ではI君やお義母さんや自分の母の支えや助けがなかったら、本当にやっていけなかったと思う。改めて周りの人達の存在ってありがたいなあと思います。



L君が入院中に色々なことを思う中、強く思い出していたのは大学病院で付き添いをしていたお母さん達のことだった。
うちはほぼ確実に元気になって帰れると思っていたけれど、大学病院では元気になれる可能性はあまりないかもしれない、でも元気になって家に帰れると信じて信じて頑張っている人達がたくさんいた。
子供の辛い治療や姿を見て自分の身をえぐられているように辛いに違いないのに、一緒に励ましながら先の見えない入院生活を送っていたお母さん達のなんと強く、すごかったことか。自分で経験してみて、改めてその強さがわかって尊敬した。私なんて先が見えているのに、ほんの2日で音を上げてしまっていたよう。。。。


自分のことも少しわかった気がします。
自分のキャパシティの小ささはまあわかってはいたけれど、改めて、私ってこんなものかあ、とか。思考の過程で「うちばっかりが・・」(あとから思えば、実際はみんな同じような感じなのにね)というフレーズが出てきはじめるとこりゃ余裕がなくなってきていてまずいね、とか。笑
でも今回はそれなりに踏ん張ったとも思うので、ちゃんと自分を誉めときました。


 まあそうやって何とか帰ることができるようにしてもらって、家でクリスマスを迎えられたことの嬉しかったこと!!
食事はかろうじて骨付き鶏のグリル(ただし超簡単)だけど、ケーキはなし、プレゼントもなし、飾りつけもなし。
でも家で家族揃ってごはんを食べられて、ゆっくりお風呂に入れて、余計な音が一切しない自分の部屋の柔らかいベッドで、伸び伸びとみんなで眠れるということのなんと幸せなことか!!
本当に当たり前過ぎてわかっていなかったけれど、青い鳥のお話じゃないけれど、幸せってつまりはこういうことなんだ。それを心から実感したクリスマスでした。


 今になって思えば、いい経験をさせてもらったと思う。一緒にすごーく頑張ったI君もそう言っています。L君は可哀相だったけれど。

思いがけない締めくくりとなりましたが、2008年はいい事を教えてくれて終わりそうです。とりあえずL君を大事にして予定を白紙に戻して、しばらくはおとなしくしていようと思います。
どうぞ良いお年を。